親戚の友達も親戚か
今日、ゴンザさんが急に休んだ。
年に数回、こういうことがある。
理由は大体、飲み過ぎからの二日酔い一択。
みんな分かってる。周知の事実。
…なんだけど、ゴンザさんは酒が強いアピールでもしたいのか、決してそれを認めようとしない。
今日、ゴンザさん本人から聞いた欠勤の理由は、「いとこの家の“ほう”で誰かなくなった」かららしい。
いとこじゃねぇのかよ!?とは誰も突っ込まない。
なぜなら、それは不毛だと誰もが心得ているからだ。
でも、「消火器を売る悪徳セールスでも最近そんなの言わねぇよ。」と誰もが思っている。
なお、すでにゴンザさんの親族は両手両足の指の数では足りないほど死んでいる(本人の申告に基づく)ことを付け加えておく。
ブラジルからの使者
今日、新人が入ってきた。
ゴンザレスさん。
ライン長のゴンザさんと名前が微妙にカブっていて、あだ名を決めなければいけない、という話になった。
ゴンザさんは、ゴンザレスさんのことを「二代目ゴンザで決まりだろ!」としきりに言っていたが、名前も長いし、なによりゴンザさん自体の人望が本人の思うほど厚くないので誰も賛同しなかった。
結局、ゴンザレスさんはフルネームで「ゴンザレスさん」と呼ぶことで落ち着いた。
ゴンザさんだけは、「二代目!」と呼んでたけど、3回に一回くらいの頻度でゴンザレスさんがシカトするのに気づいてからは、普通に「ゴンザレス!」と呼んでいた。
お金をもらうタイプの精神修行
お盆が目前に迫っている。
世間的にはお盆休みなるものがあるんだけれど、パン工場において、その常識は通用しない。
24時間を4交代で回している。
他の工場だと3交代らしいんだけど、うちの工場は「ワークライフバランス」なるものを意識して、従業員になるべく無理をさせたくないそうだ。
もちろん、他の向上に比べると給料は少し見劣りするんだけれど、それでも不満が出ることはない。
楽だからだ。
水は低きに流れる。
誰だってツライよりは楽なほうがいいし、そちらに流れるのは当然ともいえる。
僕の仕事はアンパンに桜の花びらの塩漬けを載せること。
一見楽なように見える。
しかし、最初の3分だけだ。あとは心を無にしてやらなければ、退屈で仕方ない。
最近僕は、この仕事をお金をもらうタイプの精神修行だと思っている。
好きな芸能人のはなし
今日、お昼の休憩時間に好きな芸能人の話をした。
学生バイトのミカちゃんは、お笑い芸人のことを話してた。
「あたし、面白い人が好きなんです」
外見よりも中身を見てます、みたいなセリフだけど、僕は騙されない。
ゴンザさんはおっぱいの大きい女性芸能人ばっかり挙げてて、
ミカちゃんは「もー、セクハラですよーww」と引きつった笑顔でたしなめていたが・・・。
ゴンザさん、「ウケた!」と思ったのかお構いなしに続けてた。
ミカちゃんの笑顔が徐々に消えていくなか、それでも止まらないゴンザさんのおっぱいトーク。
あからさまに人がドン引きする様を、25年の人生で初めて見た。
ゴンザさんの後ろの席で工場長もこっちを向いて、ミカちゃんのドン引き姿を見てた。
帰りがけに、ゴンザさんだけ工場長に呼び出されてた。